日本に生息する熊は単一の種類ではない。本州と四国に生息するツキノワグマと、北海道に君臨するヒグマでは、その生態も遭遇時のリスクも大きく異なる。
ツキノワグマは体長110〜150センチ、体重40〜100キロ前後とヒグマに比べれば小柄だが、木登りが得意で極めて俊敏だ。山菜採りや農作業中に藪から突然飛び出され、顔面や頭部を引っ掻かれる突発的な遭遇事故が多い。一方、ヒグマは雄で体重200〜300キロを超え、時速50キロ以上で疾走する北道最大の陸棲哺乳類だ。一度獲物と認識した対象への執着心は凄まじく、防御行動のみならず捕食目的での事故も現実に起きている。対峙する相手の種を理解することは、生存のための第一歩となる。