アメリカ・オレゴン州のマルーア国有林。足を踏み入れても、そこにはごくありふれた針葉樹林が広がっているようにしか見えない。だが、地中には驚愕の怪物が眠っている。オニナラタケ(学名:Armillaria ostoyae)の菌糸体だ。
この菌類は地下で網の目のように菌糸を広げ、樹木の根を伝って際限なく増殖する。その占有面積は約9.6平方キロメートル。東京ドームに換算すれば200個分以上、ひとつの生命体がすっぽりと山ひとつを覆い尽くしている計算になる。遺伝子解析によって、この広大なエリアに広がる菌糸がすべて同一のDNAを持つ「単一の個体」であることが証明された。推定年齢は2400歳から8000年以上。静かに、しかし確実に大地を侵食し続ける姿は、まさに地球規模の生命体と呼ぶにふさわしい。