社会的孤立と無敵化の現象は、フィクションの世界とも不気味に共鳴している。全世界で社会現象となった映画『ジョーカー』は、社会から見捨てられた男がダークヒーローへと変貌し、凶行に走るプロセスをリアルに描いた。
映画が示したのは、貧困や精神的困窮に直面した個人が、社会からの冷淡な視線に晒され続けた結果、破壊的な衝動へと傾斜していく不都合な真実である。フィクションの中の物語は、いまや現実の日本都市部で起きている惨事と残酷なまでに重なり合う。フィクションをなぞるかのように自らを孤高の復讐者と捉え、白昼の街頭で刃を振るう事件は、ポップカルチャーが持つ暗い側面を突きつけている。