大企業が隠す「追い出し部屋」の最新手口と慰謝料を勝ち取る防衛策にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

労働政策研究の第一人者である濱口桂一郎氏が指摘するように、日本型雇用の根幹には「職務(ジョブ)」ではなく「成員権(メンバーシップ)」で結ばれた契約構造がある。欧米のように特定のポストが消滅したからといって即座に整理解雇することは、日本の法理上きわめてハードルが高い。企業は解雇回避努力義務を課されており、おいそれと人員を削減できないジレンマを抱える。

その結果として生み出された歪みが、陰湿な人事労務管理である。高給となった中高年社員や、経営方針に異を唱えた社員をターゲットに定め、合法的な解雇ができない代わりに「自己都合退職」へと追い込む圧力をかける。企業側にとってみれば、不当解雇として訴訟リスクを負うよりも、精神的に追い詰めて自主退職させたほうが手切れ金も安く済み、企業イメージの毀損も最小限に抑えられるという計算が働く。

だが、この歪んだ合理主義が現場に強いる苦痛は計り知れない。社員は生活の糧と社会的アイデンティティを天秤にかけられ、逃げ場のない心理的拷問に晒され続けることになる。