ポケットがない服はなぜ多い?デザイナーが隠した驚きの理由と歴史についての疑問解決ガイドを徹底解説します。

ポケットを巡る攻防の歴史は古く、ジェンダー観の変遷そのものを映し出している。かつて男性用衣料には多数のポケットが装備され、実用性が最優先されていたのに対し、女性用衣料は装飾品としての側面が強調され、小物はハンドバッグに収めることが前提とされていた。この風潮に真っ向から異を唱えたのがココ・シャネルである。彼女は男性服の機能美に着目し、女性用スーツに実用的なポケットを取り入れ、行動する女性たちの自由を象徴させた。

だが、戦後のファッション界に彗星のごとく現れたクリスチャン・ディオールは、全く異なるアプローチを取る。彼が提唱した「ニュールック」は、キュッと締まったウエストと大きく広がるフレアスカートで世の女性を魅了したが、そこでは徹底的に彫刻的な美フォルムが優先された。結果としてポケットは削ぎ落とされ、機能性よりも優雅さを重んじる伝統が再び息を吹き返した。この二人の巨匠による対立軸は、現代のファッションデザインにおける永遠の命題として今なお受け継がれている。