2026年のフードトレンドを語る上で欠かせないのが、「ウェルネス」というキーワードである。超高齢化社会とストレス社会が交差する日本において、スパイスは単なる調味料ではなく、「食べる漢方」としての側面を強く帯びるようになった。
ターメリック(ウコン)の抗炎症作用、クミンの消化促進、カルダモンのリフレッシュ効果。インド伝承医学「アーユルヴェーダ」の知恵を取り入れたメニューを提供する店舗が急増している。体質やその日の体調に合わせてスパイスの配合を微調整してくれるカウンセリング型のカレーサロンまで登場した。
「胃もたれしないカレー」という新たな価値観は、従来の「油っこくて重い」というインド料理のパブリックイメージを完全に塗り替えた。仕事で疲弊した頭脳をスパイスのアロマでクリアにする——そんな「脳のデトックス」を求めて、平日の夜に一人でスパイス店を訪れるビジネスパーソンが増加中だ。