智弁和歌山を脱皮させた男の矜持——甲子園の常識を覆し続ける「令和の革新」と熱狂の正体の重要ポイントをご紹介します。最新トレンドが満載です。

彼の指導者としての深みを語る上で、現役時代の壮絶な苦難を外すことはできない。高卒で阪神へ入団した直後、携帯電話のアンテナが右目に刺さるという不運な事故に見舞われた。視力の低下。失明の恐怖。常人であれば挫折し、球界を去っていてもおかしくない出来事だった。

それでも彼は諦めなかった。過酷なリハビリを経てグラウンドへ戻り、控え捕手として、あるいはブルペン捕手のような役割すら受け入れながら、投手の精神状態や相手打者の心理を観察し続けた。球界のトッププロたちがどう考え、どう壁を乗り越えるのか。ベンチという特等席で蓄積された広範なナレッジが、いま目の前の高校生たちへダイレクトに受け継がれている。