救急車やヘリコプターすら近づけない崩落現場。充満する黒煙と迫り来る爆発の危険。普通ならば誰もが足すくむ惨状の真っ只中に、大型専用車両「ERカー」とともに突入していくTOKYO MERの姿は圧巻の一言だった。「死者ゼロ」というスローガンは、一見するとフィクション特有の理想論に聞こえるかもしれない。しかし現場に立つ喜多見たちの執念は、その青臭い理想を力づくで現実に引きずり戻す。
心停止した患者への迅速な胸骨圧迫、煙の充満する通路でのトリアージ、そして瞬時の判断。1分1秒が生死を分ける緊迫した展開は、観客に息をつく暇さえ与えない。ドキュメンタリーを凌駕するほどのテンポ感とカット割りは、観客を「映画の目撃者」から「現場の当事者」へと引きずり込む力を持っていた。