田村の真骨頂は、日常の中に突如として潜む異常性や、逆に異常な状況の中で見せる異常なほどの普通さを表現する能力にある。映画やドラマの劇中、彼が演じる人物は決して記号的ではない。どこにでもいそうな市井の人間でありながら、ふとした拍子に深淵をのぞかせる。
作品を鑑賞した後に「あの役を演じていたのは誰だ?」と検索させる力。それこそが彼のカメレオンたる所以だ。主演を引き立てつつも、作品全体のリアリティを底上げする。彼が画面にフレームインした瞬間、作品に立ち込める空気の密度が変わる感覚を、多くの映画ファンが体験しているはずだ。