クリスタルキングの不朽の名曲「大都会」の誕生秘話とハイトーンボイスの衝撃の真実を紐解くと、そこには過酷な現場で培われた天賦の才があった。ボーカルの田中昌之(現・田中雅之)が放つ、ハイBからハイDへと突き抜けるハイトーン。裏声ではなく、力強い地声の倍音を含んだミックスボイスで歌い上げるスタイルは、当時の常識を完全に破壊した。レッド・ツェッペリンやカンサスといった洋楽ロック(音楽)のシャウトに影響を受け、過密なステージで声を張り上げ続けた結果、あの唯一無二の金属的なベルティングボイスが完成したという。
そして、歌詞に隠された裏話も極めて人間臭い。タイトルこそ「大都会」だが、作詞・作曲を手掛けたメンバーたちが描いていた原風景は、煌びやかな東京そのものではなかった。地方都市から遥かなる都会を見つめ、憧れと孤独、そして這い上がろうとする剥き出しの野心。華やかなネオンの影にある「愛を求めて彷徨う魂の叫び」だったからこそ、歌詞は普遍的な哀愁を帯び、聴く者の孤独に寄り添い続けている。