日本の鉄道・都市交通産業において、異なる鉄道会社が近接するターミナル駅の再構築は最大の難題とされてきた。京王電鉄株式会社と東急株式会社という私鉄大手が鎬を削りながらも、歩行者デッキの接続やサインシステムの共通化で協調を進める姿は、成熟した都市インフラの新たなモデルケースといえる。
乗り換え客の分散、ユニバーサルデザインの徹底、そして災害時における帰宅困難者の滞留スペース確保など、駅に求められる要求水準は年々上がっている。井の頭線の渋谷駅もまた、単なる電車の発着場から、都市全体のレジリエンスを支える安全弁としての役割を強く帯び始めているのだ。