多田修平の走りを語る上で欠かせないのが、一秒間に足を動かす回数の多さを誇る「超ピッチ走法」だ。大柄な選手がストライド(歩幅)で距離を稼ぐのに対し、彼は圧倒的な足さばきの速さで加速していく。この走法を支えているのが、徹底して鍛え上げられた強固な体幹だ。
スタート直後、頭からかかとまでが一直線になる低重心のフォームは、体幹がブレてしまえば途中で体勢が崩れてしまう。彼は腰まわりと深層筋肉を徹底的に強化することで、どれほど足の回転を上げても上体がブレない軸を作り上げた。小柄に見える印象とは裏腹に、走りの安定感を支える芯の太さこそが、世界レベルのピッチを持続させる真の秘密である。