レコード針が溝をなぞるスクラッチ音が、7階のヴァイナルフロアに響く。かつてはオーディオマニアの専売特許だったアナログ盤だが、現在このフロアの主役は20代の若者たちだ。スマホの画面でジャケットアートワークを見るだけでは満足できない層が、30cm四方の大きな紙パッケージを「所有するアート」として買い求めている。
再発盤のシティポップから最新のインディーズロック、さらにはアニメソングの限定LPまで、ラインナップの幅広さは圧巻だ。試聴コーナーでは、ヘッドホンをつけた若者が真剣な眼差しで盤面に耳を澄ませている。音の「データ」を買うのではなく、針を落とすという「作法」と「モノの質感」を買う。この価値観の転換が、渋谷の真ん中で加速している。