館内のメインアトリウムに足を踏み入れると、誰もが息をのむ。世界で最も完璧な状態のティラノサウルス実物化石の一つとして知られる「トリスタン」の高精細3Dスキャン複製骨格が、獲物を狙う精悍なポーズで来館者を迎え撃つからだ。黒光りする骨格の表面に刻まれた微細な傷や歯の摩耗跡は、数千万年前の過酷な生態系バトルをそのまま再現している。
「この迫力は、画面越しでは絶対に伝わりません」——長崎市内から訪れた30代の父親が、食い入るように骨格を見上げる息子の肩を抱きながら語った。照明設計も極めて精妙で、影の落ち方一つひとつが、太古の巨獣が今にも呼吸を再開しそうな生々しさを醸し出している。