朝稽古が終わると、部屋には炊き立ての米と特製ちゃんこの香ばしい匂いが立ち込める。ここで発揮されているのが、女将ならではの徹底した栄養管理だ。従来の「とにかく量を食べる」という大相撲の慣習から一歩進め、高タンパクかつリカバリーを早めるバランスの取れた献立が毎食並ぶ。
十代の若い弟子たちが激しい稽古で疲弊したとき、真っ先に変化に気づくのも彼女だ。「今日は少し食欲が落ちている」「体の張りがいつもと違う」。日々の食事風景を通して力士たちのバイタルサインを見抜き、必要に応じて個別のメニューを用意する。強靱な肉体づくりと怪我の防止は、土俵上の稽古だけでなく、厨房の温かい配慮から生まれている。