一方で、妻である田中裕子の女優としての躍進もとどまることを知らない。NHK連続テレビ小説『おしん』で世界的な知名度を獲得して以来、映画『天城越え』や近年の話題作、海外映画祭での高い評価に至るまで、彼女の演技力は内外で絶賛され続けている。スクリーンの中に一歩足を踏み入れれば、セリフのない一瞬の間や視線の動きだけで、観客の心を鷲掴みにする圧倒的な表現力を誇る。
2020年代後半の現在も、映画監督たちからの出演オファーが途絶えることはない。役柄の大小にかかわらず、作品に圧倒的なリアリティと深みを与える演技は「生きる伝説」と称されるほどだ。バラエティ番組への出演や過度な自己主張を控え、一人の表現者として淡々と作品に向き合う潔いスタンスは、芸能界において稀有な光を放っている。