捜査当局が厳重に秘匿してきた供述調書の断片から、犯行へと至る真の動機が徐々に解き明かされつつある。被告が長年抱き続けた怒りの矛先は、幼少期に自らの家庭を崩壊へと追い込んだ「世界平和統一家庭連合」とその関連団体への献金問題にあった。山上徹也という一人の男が歩んだ半生は、高額献金によって破産した母の姿と、それに伴う極貧の生活の記憶によって埋め尽くされている。
調書によれば、被告は当初、教団のトップを狙撃対象として検討していた。しかし警戒の厳しさから断念し、教団と深い接点を持つとみなした政治家へと標的を変更した経緯が記録されている。奈良地方裁判所での審理を前に、弁護側と検察側による証拠調達の応酬が激しさを増すなか、これら未公開調書の存在は裁判の行方を左右する最大の争点となりつつある。真相の裏側に迫る動きは、法廷の外でも大きな波紋を広げている。