至高の一杯を目指す際、最初に直面するのが豆の個性の違いだ。絹ごし豆腐は水分を多く含み、滑らかで舌触りの良い食感が最大の特徴である。口に入れた瞬間にスッと溶けるような繊細さは、辛味の効いた餡とのコントラストを際立たせる。
対照的に木綿豆腐は、水分をしっかりと絞り出して作られるため、崩れにくく味が絡みやすい。日本豆腐協会が公開している成分資料によれば、木綿豆腐はたんぱく質が凝縮されており、しっかりとした噛み応えと大豆本来の濃密な風味が楽しめるという。四川料理の力強い辛みと旨味を受け止めるには、この頑丈な骨格が大きな武器となる。
どちらが最適かという問いに絶対の正解はない。喉越しを重視して洗練された味わいに仕上げたいなら絹ごし豆腐、タレと挽肉の旨味をガツンと噛み締めたいなら木綿豆腐を選ぶのが調理の定石だ。