今日世界中で愛用される絵文字の歴史を遡ると、1990年代末の日本にたどり着く。情報通信業の急速な発展に伴い、ポケベルからフィーチャーフォンへの移行が進む中、NTTドコモの栗田穣崇氏らが開発した「iモード」向け12×12ドットの文字セットがその原点だ。限定された画素数の中で、天気や感情、交通手段を簡潔に表現する試みは、グラフィックデザインにおけるピクトグラムの思想をモバイル画面へと持ち込んだ画期的なイノベーションであった。
文字数制限の厳しいモバイル環境下で、感情のグラデーションをいかに効率よく伝えるか。日本の開発者たちが試行錯誤の末に生み出した文化は、通信キャリアの枠組みを超え、瞬く間に全国の若者文化へと浸透していった。