長年「身体に良い」と信じ込まれてきた油の常識が、大きな転換期を迎えている。現在進行中の「2026年日本人の食事摂取基準研究プロジェクト」における作業部会でも、脂質の質的なバランスをめぐる白熱した議論が展開されている。これまで厚生労働省が示してきた食事摂取基準では、欠乏症を防ぐ観点から目標量が設定されてきたが、現在の日本社会において不足のリスクは事実上存在しない。むしろ問題は、知らず知らずのうちに重ねている過剰摂取の弊害だ。
国際的な動きも急速だ。世界保健機関(WHO)をはじめとする主要な保健機関は、過度なオメガ6の摂取が生活習慣病のリスクを押し上げる可能性を指摘している。日本脂質栄養学会の専門家も「現代の日本人はリノール酸を摂り過ぎており、これがアレルギー疾患や動脈硬化、心筋梗塞のリスクを潜行的に高めている」と強く警鐘を鳴らす。かつての「善玉油」という神話は、いまや膨大なエビデンスの前で崩壊しつつあるのだ。