不慮の事故で命を落とした青野龍平。幽霊として刈谷優里の前に姿を現した彼は、生前と変わらぬ穏やかで優しい少年に見える。しかし、物語が進むにつれて読者が突きつけられるのは、そこに漂う圧倒的な異物感だ。
優里が触れようとすると怪異が発動し、周囲に災厄をもたらす。さらに突如として凶暴な人格へと変貌し、他者の精神を侵食していく通称「黒青野」の存在が物語の不穏さを一気に加速させる。青野君は本当に本人の魂なのか、それとも優里の孤独が生み出した妄執なのか。善意と悪意がマーブル状に混ざり合う彼の二面性は、単なるホラーラブストーリーの枠組みを軽々と踏み越えている。