ブラウン管越しに見るコメットさんはどこまでも天真爛漫だった。だが、カメラが止まった瞬間の現場は、まさに戦場そのものだったという。当時、爆発的な人気を誇っていた大場久美子のスケジュール帳は分刻みで埋め尽くされ、睡眠時間は連日2〜3時間。スタジオに仮設ベッドが持ち込まれ、点滴を打ちながら撮影に臨む日も珍しくなかった。
特撮ならではの過酷さも容赦なく襲いかかる。冬の冷え切った川辺でのロケ、ワイヤーに吊るされる空中アクション、さらには象や猛獣との共演シーンまで、ほぼスタントなしで体当たり演技を続けた。「視聴者に夢を届けるアイドル」という看板を守るため、弱音を吐くことは許されない。弱冠18歳の少女は、肉体的にも精神的にも限界の淵に立ちながら、星のステッキを握りしめていたのだ。