埼玉の住宅街に潜む練馬区の飛び地・西大泉町で暮らす住民のリアルの概要と注目ポイントを徹底的にカバーしました。

国土地理院が発行する公的な地図を拡大していくと、埼玉県新座市片山3丁目の住宅密集地の中に、ぽつんと浮かぶ「東京都練馬区西大泉町1179番地」という異様な区画が現れる。広さはテニスコート数面分、数軒の住宅が寄り添うだけの極小エリアだ。

なぜこのような飛び地が生まれたのか。時計の針を1970年代まで巻き戻す必要がある。当時、周辺一帯の農地で進められた土地区画整理事業の過程で、かつての地権者が「先祖代々の土地である練馬区から離れたくない」「東京都の行政管轄のままでありたい」と強く要望したことが発端とされる。かつての武蔵国新座郡と豊島郡の境界争いに端を発する歴史的経緯と、個人の権利意識が交錯した結果、周囲が新座市として再編されるなかで、ここだけが取り残される格好となった。