かつての日本には、ホラーというジャンルが爆発的な熱量を持って出版市場を牽引していた時代があった。1970年代から90年代にかけて、朝日ソノラマが創刊した『ネムキ』や『サスペリア』、さらには伝説的なホラー専門誌『ハロウィン』などは、異彩を放つクリエイターたちの実験場となっていた。また、小学館の学年別学習雑誌や少年誌でも、怪奇特集やオカルト漫画が子供たちを震え上がらせていた。
当時は都市伝説や心霊ブーム、ノストラダムスの大予言といった怪奇現象への関心が社会全体で高まっていた時代だ。そうした世相を背景に、単なる子供騙しではない本格的なオカルト作品が続々と誕生した。出版各社が尖った才能を面白がり、自由に描かせたグラフィックの豊かさこそが、現代の作品にはない独特の熱量と密度を生み出していたのだ。