一般的な遺跡では年月とともに風化し失われてしまう木製品が、これほど大量かつ完璧な形で残されている例は全国的にもきわめて稀だ。鍬(くわ)や鋤(すき)、建築部材、さらには子供のおもちゃと思われる木製小道具までが原型を留めている。
この奇跡的なコンディションは文化庁からも高い評価を受けており、日本の古代木工技術を研究する上で欠かせない基準点となっている。専門家らは「有機物がそのまま残る環境こそが、文献資料には載らない庶民の生の歴史を教えてくれる」と口をそろえる。まさに過去から届いた時空を超える手紙と言えるだろう。