映画のメインビジュアルとして親しまれてきたポスターには、長年気づかれなかった衝撃的な仕掛けが施されている。黄色く輝く無数の光に包まれ、笑顔を浮かべる清太と節子。一見すると幻想的で心温まる光景に見えるが、この画像の明度をデジタル処理で大きく引き上げると、夜空の暗闇の中に米軍の大型爆撃機B-29の漆黒のシルエットが浮かび上がってくるのだ。
光の粒をよく観察すると、上空から直線的に降り注ぐ涙型の光と、地上付近で柔らかく丸く光る粒の二種類が存在する。前者は焼夷弾の油脂火薬が飛び散る火の粉であり、後者が本物の蛍である。死と隣り合わせの戦火を、幼い妹は美しい蛍の光と誤認していたのか。一枚のポスターに刻まれたこの二重構造は、観客に静かな恐怖と哀しみを与え続けている。