個人の経験論に委ねられてきた子育ての現場に、国際機関や政策機関も相次いで明確な科学的指針を打ち出している。世界保健機関(WHO)は、早期乳幼児発達(Nurturing Care Framework)において、生後数年間の応答的なケア(レスポンシブ・ケアリング)と安心できる環境が生涯の健康と認知能力の基盤になると明言した。
日本国内でも同様の動きが加速する。文部科学省が策定した幼児期からの育ちを支える基本方針では、単なる知識教育の早期化を戒め、「非認知能力」——意欲、感情のコントロール、他者への共感性——を育む遊び中心のアプローチを最前線に据えた。また、日本小児科学会はスクリーンタイムの急増が乳幼児の社会的相互作用を損なうリスクについて具体的な提言を重ねており、デジタルツールが溢れる家庭環境への警鐘を鳴らし続けている。