尼崎連続変死事件の深層に迫る 角田美代子と崩壊した家族の全記録の特集記事をお届けします。役立つ情報がチェックできます。

複数の尊い命が失われる前に、事態を食い止める機会は何度もあった。被害者親族からの度重なる相談や被害届に対し、兵庫県警察をはじめとする関係機関の初動対応には重大な課題が残された。「民事不介入」の原則や、親族間のトラブルという表層的な見立てが壁となり、SOSは見過ごされ続けたのである。

角田美代子が留置施設内で自殺を遂げたことで、事件の首謀者を刑事法廷で裁く道は失われた。残された共犯者たちの裁判が行われた神戸地方裁判所では、マインドコントロール下で行われた犯行にどこまで刑事責任を問えるのかという、従来の刑事司法の枠組みを揺るがす難題が突きつけられた。極限の恐怖によって意思決定を奪われた共犯者たちの量刑判断は、法と人間の心理の狭間で司法が直面した限界を浮き彫りにした。