宝塚を退団後、彼女の人生は大きな波乱を迎える。歌舞伎界の革新児として躍進していた三代目市川猿之助(後の二代目市川猿翁)との結婚だ。伝統と格式を誇る梨園への嫁ぎ、そして長男である香川照之の誕生。華やかな話題に包まれた二人だったが、その生活は長くは続かなかった。
結婚生活は数年で破綻を迎える。離別という苦汁をなめた浜木綿子は、幼い香川照之を引き取り、女手一つで育てる決意を固めた。当時の芸能界において、離婚したシングルマザーが第一線で生き残るハードルは極めて高かった。しかし彼女は一切の甘えを捨て、女優業へ本格復帰。一家の大黒柱として怒涛の日々へと突き進んでいった。