熊に対する大衆の恐怖心は、スクリーンを通じて幾度となく増幅されてきた。映画『レヴェナント: 蘇えりし者』でレオナルド・ディカプリオが演じた主人公が、森の中で巨大な母熊に幾度も叩きつけられ、肉を引き裂かれながらも生き延びようともがく場面は、極限のサバイバルパニックとして観客の脳裏に焼き付いている。
一方で、過剰な親近感が招いた悲劇もある。現在NetflixやAmazonプライム・ビデオなどの各種配信プラットフォームでも再評価されているヴェルナー・ヘルツォーク監督の名作ネイチャードキュメンタリー『グリズリーマン』は、野生の熊を愛し、保護を訴えながらも最終的にその熊に命を奪われた男性の記録だ。熊は映画の怪獣でもなければ、心を通わせられる無垢な隣人でもない。徹底して合理的な生存本能で動く野生動物であるという事実を、これらの映像作品は残酷なまでに突きつけている。