現在、この至宝を収蔵・展示しているのが米沢市上杉博物館だ。展示室のガラス越しであっても、その存在感は他の追随を許さない。緻密に詰んだ小板目肌に地沸が細かく輝く「梨地肌」は、粟田口派の真骨頂であり、日本伝統工芸・刀剣美術が到達した究極の美学を余すところなく体現している。
武器としての殺傷力を研ぎ澄ませながら、同時に祈りや美の対象へと昇華された刀剣文化。学芸員の手によって大切に管理されるその姿は、単なる歴史的遺物ではない。当時の鉄の純度、熱処理技術、そして職人の魂が今なお生き続ける「呼吸する工芸品」そのものである。