参拝の醍醐味は、参道や門前町に根付く伝統食にもある。名物「走井餅(はしりいもち)」は、極上の餡をやわらかな求肥で包み込んだ逸話深い銘菓だ。刀の形を模したその形状は、剣難を逃れ開運を招く縁起物として長年親しまれてきた。
さらに、この地は日本の懐石文化に一石を投じた「松花堂弁当」の発祥の地でもある。男山の社僧であった松花堂昭乗が愛用した十字仕切りの箱が、後に名店「吉兆」の創業者によって洗練された弁当容器へと生まれ変わった。境内近くの庭園や食事処で味わう四季折々の献立は、舌で味わう歴史そのものと言える。