宝石を描く際、単なる「硬いツルツルした物体」として扱うと画面が平面化してしまう。本物の鉱物が持つ美しさは、光が物質内部に入り込んだ際に起こる複雑な「屈折率」の違いと、カット面(ファセット)による複雑な内部反射から生まれているからだ。ダイヤモンドのような高い屈折率を持つ石は光を鋭く跳ね返し、エメラルドやサファイアのような石は深みのある光の溜まりを作る。
デジタルアートにおいてはこの物理現象をシンプルに記号化して落とし込むことが求められる。ファセットの面に沿って明暗の強い幾何学的な面分けを行い、向こう側が透けて見えるような明度ギャップをあえて作ることで、視覚的な錯覚によって画面上に圧倒的な屈折感と立体感が立ち現れる。