70年代の衝撃から一歩進み、1988年に公開された大林宣彦監督の映画『異人たちとの夏』において、秋吉久美子はさらなる演技の境地に達した。市川森一脚本による幻想的なストーリーの中で、彼女が演じた主人公の母親役は、ノスタルジーと妖しい色気が同居する至高のキャラクターだ。
本作での彼女の演技は高く評価され、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。過去を慈しむような深い眼差しと、静かながらも濃密な官能性が映画全体を包み込んでいる。単に若さや刺激に頼るのではなく、歳月を重ねたからこそ滲み出る大人の色香と情念。日本映画の金字塔と称されるこの作品において、彼女が見せた肉体と精神の融合は、女優・秋吉久美子のキャリアにおける大きな頂点の一つとなった。