なぜ、激しい批判に晒されながらも同様の痛ましい事件が繰り返されるのか。その根底には、インド社会に深く根付く家父長制的な価値観と、伝統的な身分意識やジェンダー格差が存在する。
農村部や貧困層においては、女性に対する差別的道徳観が依然として強く残留している。被害に遭っても「家門の恥」として警察への届け出を躊躇させられたり、村の長老会によってもみ消されたりするケースが今なお報告されている。都市部における女性の社会進出が進む一方で、社会意識のアップデートが追いついていない摩擦が各所で生じている。
司法手続きの遅延も深刻な問題だ。全国で膨大な数の性犯罪訴訟が停滞しており、判決が出るまでに数年から十年以上を要することも珍しくない。処罰に対する恐怖心が薄れることが、抑止力を弱める要因として指摘され続けている。