歴史の表舞台における彼女の戦いは、四国の有力大名である河野氏の勢力争いと深く結びついている。周防の大内氏による度重なる侵攻に対し、水軍の主力を担ったのが河野氏傘下の武将たちだった。
その渦中で生まれた切なくも激しいドラマが、右腕であり恋人でもあった副将・越智安成との絆だ。二人は水軍の奇襲戦術を駆使し、大内氏の宿将・大原賢家らの大軍を相手に華々しい勝利を収めていく。潮の流れを読み切った戦術展開は、大内水軍を徹底的に翻弄した。しかし、激闘の末に越智安成が討ち死にしたという報せが届く。戦いには勝利したものの、最愛の伴侶を失った彼女は18歳という若さで海に身を投げたと伝えられる。一途な愛と散り際の美学が、いまも瀬戸内の海鳴りとともに語り継がれている理由だ。