日本におけるショートヘアの受容史を振り返る上で、映像カルチャーが与えた影響は計り知れない。かつて映画『モテキ』で見せた長澤まさみの軽快でアンニュイなショートボブは、世の女性たちに「短髪こそが最大のフェミニニティになり得る」という鮮烈な事実を突きつけた。従来のボーイッシュなイメージを根底から覆した歴史的瞬間だったと言える。
さらに、本田翼が体現し続けてきた飾らないマッシュショートの親しみやすさや、社会現象となったドラマ『silent』で描かれた登場人物たちの繊細なミニボブやショートスタイルは、視聴者の美意識を確実にアップデートした。スクリーン越しに放たれる彼女たちの凛とした佇まいは、いつの時代も美容室の扉を開く女性たちの背中を力強く押し続けている。