教林坊の最大の白眉は、江戸時代初期に小堀遠州作と伝えられる池泉鑑賞式庭園だ。文化庁より国指定名勝(教林坊庭園)に指定されているこの庭園は、山肌の傾斜を巧みに生かした立体的な石組みで知られる。
一般的な日本庭園のような整然とした美しさとは異なり、自然の巨石をそのまま取り込んだ力強さが特徴だ。巨石の間を縫うように広がる深い苔の緑、頭上を覆う数百本のモミジ、そして山裾から湧き出る水。茅葺き書院の濡れ縁に腰を下ろし、庭を眺める。光の角度が変わるごとに巨石の陰影が表情を変え、時が止まったかのような錯覚に陥る。自然と人工が見事な緊張感で共生する空間構成は、日本庭園の傑作と呼ぶにふさわしい。