ハイブランドの構築的な美学とは一線を画し、オーガニックな温もりと個性で熱狂的なファンを持つブランドも見逃せない。
イタリア・フィレンツェ発のイル ビゾンテ(IL BISONTE)は、職人が伝統的なバケッタ製法で仕立てるヌメ革が真骨頂だ。最初は淡いベージュだった革が、持ち主の手の脂や日光を浴びて深みのある飴色へと育つ。傷すらも味わい深いテクスチャーへと同化していくプロセスは、まさに自分だけのヴィンテージを育てる喜びに他ならない。
一方、英国のエスプリを体現するポール・スミス(Paul Smith)は、クラシックなレザーの外見を開いた瞬間に現れるシグネチャーストライプやコントラストカラーで魅せる。緻密なテーラリングの伝統に忍ばせたウィットは、日常の何気ない鍵の開閉をエンターテインメントへと変えてしまう。