『ドゥマゴ』の語源は、かつて絹織物店だった時代に店内に飾られた2体の中国風木彫り人形(マゴ)に由来する。パリのサン=ジェルマン=デ=プレ(Saint-Germain-des-Prés)の心臓部に位置する本店は、20世紀初頭から芸術家や思想家が集う伝説的なサロンだった。
文豪アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)をはじめ、実存主義の哲学者ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)やシモーヌ・ド・ボーヴォワール(Simone de Beauvoir)が連日テーブルを囲み、情熱的な議論を交わしたエピソードはあまりにも有名だ。1933年には独創的な文芸作品を称えるドゥマゴ文学賞(Prix Les Deux Magots)が創設され、言葉と知性が交錯するカフェ文化の黄金期を築き上げた。その精神的遺産こそが、時を越えて渋谷へと受け継がれている。