土台の半紙が決まったら、次は飾り物を重ねていく工程に入る。全体を調和させ、美しいバランスで仕上げるには、下から上へと意味を理解しながら積み上げることが欠かせない。
一番下には、神事に用いられる木製の台座である三方を置く。三方がない場合は、折敷(おしき)やおめでたい意匠の白皿でも差し支えない。その上に先ほど準備した半紙を敷き、次いで「裏白(うらじろ)」を配置する。裏白は葉の裏側が白いことから「腹黒くない、清廉潔白な心」を表し、左右対称に広がる葉姿は夫婦円満や長寿の象徴とされる。緑の表側を上にし、白い裏側が少し見えるように斜めに交差させて敷くのが見栄えを良くするコツだ。
その上にお持ち(大・小の二段)を鎮座させ、一番頂点に載せるのが橙(だいだい)である。橙は木から落ちずに何代も実をつけ続けることから「家系が代々栄える」という縁起を担ぐ。近年はプラスチック製のミカンで代用されるケースも増えているが、生の橙が放つ瑞々しい香りと重厚感は、正月の床の間に独特の凛とした空気感をもたらしてくれる。