速い。とにかくスイングスピードが群を抜いている。
打席に立つ打者全員が、迷いなく振ってくる。相手投手が組み立てた完璧な配球であっても、わずかに甘く入った球を一振りで外野フェンスの向こう側へと運んでしまう。今大会、敦賀気比が見せた打撃の破壊力は、従来の高校野球の枠組みを完全に凌駕していた。
「振る力」は一朝一夕には身につかない。福井の厳しい冬、雪に閉ざされた室内練習場で繰り返された愚直なスイング。それが甲子園の大舞台で結実した瞬間だった。相手バッテリーがどれほど警戒しようとも、それを上回る圧力で押し切る。これこそが、ファンを魅了してやまない伝統のスタイルだ。