事件発生以来、計り知れない苦悩の中に置かれてきたのは被害者家族にほかならない。愛する我が子の無事を祈る切実な思いとは裏腹に、自宅周辺には過熱した報道陣が押し寄せ、根拠のないSNS上の誹謗中傷やデマにも晒され続けた。
ここへきて問われるのは、健全な報道・ジャーナリズムの在り方だ。国民の「知る権利」に応えることと、当事者のプライバシーや人権を守ることの境界線はどこにあるのか。裏付けのない臆測報道が過密化することで、時に捜査の攪乱や家族への二次被害を引き起こす。メディア自身がその倫理観を厳しく再問される局面を迎えている。