懸賞金の歴史を語る上で欠かせないのが、数々の金字塔を打ち立てた元横綱・白鵬翔の存在だ。圧倒的な強さとスター性を兼ね備えていた白鵬は、現役時代に1場所で獲得した懸賞金の最多記録や、一大会で集めた通算獲得数で前人未到の数字を残した。1場所で600本を超える懸賞を獲得した時期もあり、土俵上で受け取る熨斗袋の束が片手では収まりきらないほどに膨らむ光景は、まさに一時代の象徴であった。
また、近年の土俵で圧巻の存在感を示してきた横綱・照ノ富士春雄も、数々の名勝負で大量の懸賞を引き寄せてきた。怪我による不屈の復活劇を遂げた照ノ富士の取組には、多くの企業からの期待と敬意が込められた懸賞旗がズラリと並び、結びの一番での勝負が決した瞬間には館内に大きな歓声が響き渡った。
現在、1つの取組に懸けられる懸賞本数の上限は61本に設定されている。優勝決定戦やライバル同士の直接対決など、土俵の緊張感が頂点に達する取組ではこの上限枠が瞬く間に埋まる。勝利の瞬間に手にできる現金の重みは、頂点に立つ横綱たちだけに許された最高峰の報酬だ。