なぜ、熱を通すと足の先がこれほどまでに鮮やかな赤いグラデーションに染まるのか。そして、なぜ他の貝類を圧倒するほどの濃密な甘みを持つのか。最新の食品科学研究が、その秘密を明かしている。
加熱によって変化する色素タンパク質「カロテノプロテイン」の挙動に加え、遊離アミノ酸であるグリシンとアラニン、そしてグリコーゲンの含有量が極めて高いことが実証された。特に冬場から初春にかけて蓄えられたグリコーゲンは、加熱されることで甘みの知覚を何倍にも引き立てる。刺身のコリコリとした歯ごたえと、サッと湯通しした際の妖艶な柔らかさ。このふたつの表情を併せ持つことが、美食家たちを魅了してやまない最大の理由だ。