この事件は、日本の政治ジャーナリズムにおけるひとつの分水嶺となった。政治家の真意や政策の実行力ではなく、感情的なワンフレーズや切り取られた映像がいかに政治の意思決定を瞬時に麻痺させるかを証明してしまったからだ。
もちろん、被災者心情への配慮を欠いた松本氏の振る舞いそのものに弁解の余地はない。だが、メディアが政策の妥当性や復興のグランドデザインを深く検証することなく、情緒的なバッシング一色に染まった結果、後任への引き継ぎや法案成立には多大なタイムロスが生じた。15秒の映像がもたらした熱狂的な批判の陰で、真に議論されるべき復興財源や法整備の議論が置き去りにされた事実は、今なお重い教訓として横たわっている。