この強固な外交体制を確立した中心人物が、三代将軍の徳川家光だ。1630年代、幕府は数回にわたる鎖国令を発令し、日本人の海外渡航や帰国を厳禁とするとともに、カトリックの布教を背景とした海外勢力の介入を徹底的に排除した。
当時、キリシタンの存在は幕府の封建秩序を揺るがす最大の安全保障上のリスクとみなされていた。激しい弾圧と信仰の葛藤を描いた遠藤周作の小説を原作とする映画『沈黙 -サイレンス』でも描写されたように、当時の宗教政策は単なる思想統制にとどまらず、国家の存亡をかけた政治的決断だった。家光らの断固とした処置によって、幕府は国内の反乱リスクを抑え込み、200年以上にわたる太平の世の土台を築き上げた。