今注目を集めている 鬼才・町野変丸の軌跡と表現美学 封印された未公開原稿の真実について、詳しいまとめを分かりやすく掲載しています。

1990年代の日本のサブカルチャーは、猥雑さと実験精神が奇跡的な均衡を保っていた。その震源地のひとつが『月刊漫画ガロ』を刊行していた青林堂であり、もうひとつの極北がコアマガジンなどの成人向けコミック誌の現場である。町野変丸は、まさにこの境界線上に出現した。

既成概念の破壊を掲げた太田出版の諸媒体やカルト雑誌群において、彼の筆致は瞬く間に異彩を放つ。エログロナンセンスの系譜を引き継ぎながらも、単なるグロテスクの消費に終わらせない。緻密極まりないトーンワークと無機質な少女造形。従来の青年漫画が描いてきた情念とは完全に断絶した、冷徹な機械仕掛けのような快楽と暴虐の世界を提示したのだ。当時の編集者たちが「ページを開いた瞬間に空気が凍りついた」と回顧するように、その登場はシーン全体のパラダイムシフトを意味していた。