ブームの爆発的な火付け役となったのは、漫画家・タナカカツキ氏の作品やそれを映像化したドラマ『サ道』である。これを機にサウナは中高年の憩いの場から、若者やビジネスパーソンの洗練されたライフスタイルへと進化した。YouTube上の検証動画やSNSには「最高に整う手順」が拡散され、魅了された人々が連日施設へ詰めかけている。
だが、温浴・ヘルスケア産業が急成長を遂げる一方で、利用者のリスク認識は著しく欠如している。驚愕すべき要因は、「無理な追い込み」を善とする誤った風潮だ。サウナ室で限界まで耐え、そのまま冷えた水風呂に飛び込む。この急激な刺激が生む浮遊感を健康効果だと信じ込む愛好家が多いが、生理学的には身体が生命の危険を感じて発している過剰なストレス反応に過ぎない。