2026年春、同店が発表した新作コレクションは、業界関係者に強い衝撃を与えた。「発酵」を取り入れたまったく新しいガトーの提案だ。例えば、長野県産の希少な和梨に自社ラボで発酵させた麹(こうじ)とボタニカルハーブの香りを纏わせたミルフィーユ。パイ生地の圧倒的なサクサク感のあとに、発酵由来の複雑な旨味とみずみずしい酸味が広がる。
「甘味で満足させるのではなく、素材の香りと余韻で心を満たしたい」とシェフは語る。従来の重厚なフレンチデセールの概念を覆すこの挑戦は、健康意識と本物志向が高まる現代の感性にも鋭く突き刺さっている。